偏差値40の底辺私立高校にいた「受験の神様」の話

わたしの高校には「受験の神様」と呼ばれる当時88歳のおじいちゃんがいた。

通称「神」

偏差値40の私立高校に受験の神様がいたのである。

 

え?受験の神様がいるにもかかわらず高校の偏差値40なの?と思うかもしれない。

 

しかし、受験の神様が「受験の神様」と呼ばれる理由は存在した。

それは、AO入試にめちゃくちゃ強いこと

 

わたしが高校2年生の時、私の高校は北海道大学水産学部AO入試合格者5年連続輩出という大記録を打ち出した。

しかも、5年目には5人(全体の合格者数の約1/3)を合格させるという大快挙。

 

偏差値40の底辺高校の学生が偏差値約65の旧帝大学の入学を決めるって、ジャイキリもいいとこなんですよ。しかも、それを5年連続。

鹿島がマンUを5年連続で撃破するくらいスゴい。柴崎ー!愛してるぞー!

 

そんで、この大記録を私の高校にもたらした第一人者こそ「受験の神様」と呼ばれる人間であった、と。

記録だけ見ればめちゃくちゃスゴいのである。

 

でも、この「受験の神様」とやらが、私の大学受験をまあ苦しめた。

まあ、それもそのはず、

 

私こそ6年連続合格記録を断ち切った張本人なのだからな!ガッハッハ。

 

そんなわけで私は、受験の神様についての記憶が今でも強く残っているというワケ。

あれれ~不思議だな~、どんどん筆が進んじゃうゾ~!

 

ちゅーわけで前置きはさておき、わたしは以下でこの私の高校にいた「受験の神様」の話を少々ばかりしていこうかと思う。

 

もう10年も前の話か、懐かしいねえ。

 

 

「受験の神様」のビジュアル

 

神のビジュアルは、簡潔に言うとナメック星人そのもの。

肌色のナメック星人である。この時点でもう「神」。

 

しかも、身長が175㎝くらいあり、いつも実験用の白衣を着用していた。

常人ならぬ雰囲気。実験用の白衣を着た肌色のナメック星人の完成である。

 

そういえば、神が授業を担当し始めた当時、「神」が学生用のトイレでおしっこをしている!と、クラス内でちょっとしたニュースになったことを思い出した。

 

いや、いくら神でも人間なんだから小便くらいするだろ...。とは大人になったから今だからこそ思えること。

それくらい神のビジュアル的なインパクトは凄まじかったのである。

 

そして、この神という通称は生徒間だけで用いられていたものではなく、教員の間でも用いられていた通称であった。

全然、○○先生の授業とか言わない。神の授業。神の授業かあ。

 

今考えると当時、教員間でも「あいつは常人じゃねえ、神」みたいな共通認識があったんだろうな。

 

なんせ職場に合格実績をもたらす肌色ナメック星人、神と言わずに何と呼ぶ。

 

「受験の神様」の授業スタイル

 

気になる神の授業スタイルは1コマ45分間ずっと話し続けるというストロングスタイル

その内実は簡単に言うと、AO入試における小論文対策の名の下、神の人生経験に基づく教養の詰まった話をひたすら頂戴する、というもの。

 

例えば、神が子どもの時の疎開していた頃の話とか、昔の教え子を科学オリンピックに連れて行った話とか、東日本大震災が魚に対してどのような影響を及ぼすとか、とか内容は様々。

今思えば、神は生物学、特に水産関係の方面に強かったんだと思う。

 

88歳のおじいちゃん、45分間ずっと話し続けるんだぜ?スゴくね?

しかも、高校生にはちょっくら退屈ではあるものの、すげえタメになる話。

 

普通の88歳ではない。やっぱり神には「神」と呼ばれる理由があるのである。

ああ、この人について行けば北大の水産学部なんて余裕で受かるんだろうな、そんな気まで起こさせてくれるほど、神の話は魅力的だった。

 

しかし、私には水産学部への進学をためらわせる重大な問題があった。

わたしは泳げないのである。海、ちょー怖い。

 

しかも、水産学部って海上実習なるものがあるらしいぜ?

そんなもの、カナヅチにとって地獄以外の何物でもないじゃん。

 

てなわけで、私はどうにか水産学部への進学を回避するため、通常入試の道で頑張ろう!勉強しなきゃ!と思い立ったわけである。

 

しかし、なんと私の高校、神の授業をカリキュラム上の生物や化学などの理系科目の時間に行っていた。改めて意味が分からん。

 

すると、どうなるか。

理系科目の授業が実質的に無くなる。

というわけで、わたしはまともに理系の授業を受けたことが無い。

モル濃度とか、ニュートンとか、何のこっちゃである。

  

そんなわけで、このままセンターを受けてもしょうがないと思ったわたしは、神からの度重なる説得もあり、水産学部AO入試受験を渋々渋々渋々ながら決めた。

 

そりゃあ、落ちるわな。面接官には、ぜーんぶお見通しだったてワケ。

ウナギ食べ放題の店作りたい、とか面接で言わなきゃよかったな~。 

 

「受験の神様」から学んだこと

 

はっきり言おう。ほとんどない。

 

当時のわたしも、最終的には毎週ウンチクを語りに来る謎のナメック星人くらいにしかマジで思ってなかったし、今でもその思いはさほど変わらない。

地球の神はナメック星人なので多少は許してほしい。

 

まあ強いて1つ挙げるとしたら、

自分の人生は、自分の力で切り開いて行かないといけない。

ということである。

悲しいほど逆説的だね。

  

まあ、中島みゆき

 「その船を漕いで行け、お前の手で漕いで行け
 お前が消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな」

 って言うんだから間違いねえわな。

 

大事なこと教えてくれてありがとな、神もといナメック星人

せんきゅー、地球より愛をこめて。

 

さいごに

 

結果論ではあるが、わたしは北海道大学に入学しなくてラッキーだった、と本気で思っている。

別に強がりでもなんでもなく、海が怖いのは勿論、山形で出会った人間が最高すぎた、という話なのである。

 

受験の神様がもしマジモンの神だったら、わたしは今頃、漁師になっていたかも知れなかったなー、あぶねー。

人との出会いは一期一会、何が功を奏するかわからんもんですなあ。

 

あ、そうだ。

なぜ神が水産学部のAOに強いのか。その理由は毎年、神が書いたレポートをそのまま丸写しして提出していたから。

 

受験の神様の正体とはいかに。謎は深まる一方である。